クーラーボックスに断熱シートを貼るDIY改造、本当に効果があるのか?
気になっている方のために、改造前と改造後で実際に保冷力を比較してみました。
同じ条件でクーラーボックスに保冷剤を入れ、温度センサーで内部温度を測定。
時間ごとの温度変化をデータ化し、改造の有無でどれほど差が出たのかを詳しく検証していきます。
測定の条件と環境
使用したクーラーボックスと改造内容のおさらい

今回の比較テストに使用したのは、シマノ フィクセルライト 12L。
軽量で扱いやすいモデルですが、断熱材は発泡スチロールで、真夏の使用では保冷力にやや不安がありました。
このクーラーボックスに対して行ったのが、スチロール断熱材にアルミシートを貼るDIY改造です。
アルミシートを貼ることで、断熱+遮熱の効果が加わり、内部に熱が伝わりにくくなることを狙っています。
改造の詳細については、前回の記事をご覧ください
テストに使った保冷剤・温度計
● ダイソー「消臭剤入り保冷剤」500g × 2個

テストには、ダイソーで購入した保冷剤(500g)を2個使用しました。
ゲル状で凍らせやすく、サイズ的にも12Lクラスのクーラーボックスにちょうどよい大きさです。
価格も100均なので手に入れやすく、一般的な環境での保冷力チェックとしては十分な性能があります。
● Neoteck デジタル温度計(Amazonで約1,600円)

内部の温度を記録するために使用したのは、Neoteckのデジタル温度計です。
ケーブル式の外部センサーがついており、クーラーボックス内部と外部を同時に測れるのがポイント。
今回は、改造前と改造後でそれぞれこの温度計を設置し、30分ごとに温度を記録していきました。
測定環境の条件

今回の比較テストは、夏の実使用に近い環境で行いました。
- 測定場所:屋外の日陰(直射日光は避けた場所)
- 時期:7月下旬
- 時間帯:5時〜22時(約17時間)
できるだけ公平に比較できるよう、改造前・改造後ともに同じ場所・同じ時間帯でテストを行っています。
屋内と違い、外気温の影響も受けるため、実際の釣行に近い条件での検証となりました。
改造前後の温度変化データ
測定結果グラフ(改造前 vs 改造後)

こちらが、改造前後での保冷剤温度と気温の推移を比較したグラフです。
改造後の方が明らかに温度の上昇が緩やかで、特に午後以降の差が大きく出ました。
注目すべきは保冷剤の温度が0℃を超えたタイミング。
改造前は9時ごろに0℃を上回りましたが、改造後は14時ごろまで氷点下をキープしていました。
保冷力アップの効果は?
改造の有無でどれだけ違ったか
保冷剤が5℃以下を保てる時間を「実釣で使える時間」として比較してみました。
- 改造前:約11時間まで5℃を維持
- 改造後:約14時間まで5℃を維持
わずか数ミリのアルミシートを貼っただけの簡単な改造ですが、保冷時間にして約3時間の差が出ました。
改造前と改造後で約27%の保冷力アップになりました。
1日釣りをするときや、夕方まで冷たい状態を保ちたいシーンでは、この差は非常に大きく感じます。
改造のコストや手間を考えると、十分すぎる効果といえるのではないでしょうか。
考察|なぜ効果が出た?
今回の改造で保冷力が向上した理由は、主に「断熱」と「遮熱」の両面から性能を高められたことにあります。
- 断熱効果
アルミシートをスチロールの内側に貼ることで、冷気を外に逃がしにくくなり、内部の温度変化がゆるやかになります。
特にスチロールは断熱性は高い反面、単体では熱を溜めやすいため、アルミ素材でカバーすることで熱移動を抑える働きが生まれます。 - 遮熱効果
アルミシートは赤外線(熱放射)を反射する性質があり、外から伝わってくる熱を跳ね返してくれます。
特に日中の気温上昇や、地面からの輻射熱に対して効果を発揮します。
この2つの効果が組み合わさることで、改造後のクーラーボックスは保冷剤の温度上昇が明らかにゆるやかになりました。
また、底面にもシートを貼ったことで、地熱の影響を軽減できた点も大きいと考えられます。
クーラーボックス選びに迷う方へ|ライト+改造はベイシス以上の選択肢に?
今回改造したクーラーボックス「シマノ フィクセルライト12L」の公式情報では、氷の保持時間(=保冷性能)は以下のようにモデルによって差があります。
- ライト(スチロール):約30時間
- ベイシス(ウレタン):約35時間(ライト比 約17%アップ)
- リミテッド(真空パネル):約40時間(ライト比 約33%アップ)
製品の詳細スペックについては、シマノ公式サイトのフィクセルライト製品ページをご覧ください。
今回の改造では、スチロール断熱のライトモデルが約27%の保冷力アップという結果になりました。
数値だけを見れば「ウレタン仕様(ベイシス)に近い、あるいは上回る保冷力」が得られたとも言えます。
メーカーと個人のテストでは測定条件や精度が異なるため単純に比較はできませんが、ライトモデルを改造すれば、ウレタン仕様に迫る性能を安価に実現できる可能性があるというのは非常に魅力的です。
- 「ベイシスかライトで迷っている」
- 「本体は軽くていいけど、保冷力は少し補いたい」
- 「買い替えるよりまずは工夫して使いたい」
そんな方には、ライトモデル+アルミシート改造という選択肢は、コスパ重視の最適解になり得るでしょう。
まとめ|DIY改造はやる価値あり?
今回の検証を通してわかったのは、アルミシートを貼るだけの簡単な改造でも、保冷力にしっかり効果があるということです。
- 改造前に比べて、保冷剤の温度上昇がゆるやか
- 実用温度(5℃以下)を保てる時間が約3時間延長(約27%上昇)
- 材料費はほぼ100均でそろい、コストは数百円程度
- 作業時間は3〜4時間ほど(分解・加工・組み立てまで含めて)
これだけの効果が得られるなら、手間に対するリターンは十分あると言えます。
軽量クーラーボックスやスチロール断熱のモデルを使っている方には、特におすすめです。
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