アジングでジグヘッドを使うとき、鉛とタングステンのどちらを選べばいいか迷うことはありませんか?
わたしも最初は鉛のジグヘッドばかり使っていましたが、「タングステンのほうが飛距離が出る」とか「感度が良い」とか聞いていて、実際どうなんだろう?と思っていました。
そこで今回は、鉛とタングステンのジグヘッドを使って、飛距離や感度が実際どうなのかを検証しました。
検証したことで分かった特徴や使い分けのコツも紹介するので、これからのアジングに役立ててください。
鉛とタングステンの基本的な違い
鉛とタングステンのそれぞれ素材としての違い、アジング・メバリングにおける釣りシーンでの違いを比較表にまとめました。
比較項目 | 鉛 | タングステン |
---|---|---|
比重 | 約11.3 | 約18.0(鉛の約1.6倍) |
価格 | 安価 | 高価(2倍程度) |
シルエットの大きさ | 大きめ(空気抵抗を受けやすい) | 小さめ(同じ重さでもコンパクト) |
風の影響 | 受けやすい | 受けにくい |
飛距離 | やや短い | よく飛ぶ |
フォールスピード | 遅め(食わせやすい) | 速め(手返し良い) |
感度 | 普通(ややぼやける) | 高感度(アタリを拾いやすい) |
耐久性 | 柔らかく変形しやすい | 硬く変形しにくい |
比較してみると、コスト面で選ぶなら鉛が有利ですが、飛距離や風の影響といったキャスティング面ではタングステンが有利です。さらに、感度やシルエットなど、直接魚に影響する部分もタングステンのほうが優れています。
実際に1gで比較してみた

今回比較に使用するタックルはこちらです。
・ロッド:コルトUX-542UL-S 全長1.63m
・リール:ストラディック2000番
・ライン:エステル0.3号
・ジグヘッド(鉛):月下美人AJING 1g
・ジグヘッド(タングステン):月下美人AJING 1g
・ワーム:月下美人アジングビーム 2インチ
飛距離


鉛とタングステンの1gジグヘッドで10回ずつキャストし、平均飛距離を算出しました。
風は無風時、キャストはオーバーヘッドで統一しています。計測に多少の誤差はありますが、実釣に近い条件を再現しています。
グラフを見て分かる通り、飛距離の違いはほぼなしという結果になりました。同じ1gでもタングステンのほうがシルエットが小さく空気抵抗を受けないので、飛距離が伸びると思っていましたが、実際は誤差の範囲内で、同じg数であれば大きな差は出ないということが分かりました。
フォールスピード

鉛とタングステンの1gジグヘッドで10回ずつフォールさせ、平均時間を算出しました。
潮の流れ、起伏の無い漁港内で検証。着水から着底までをストップウォッチで計測しています。
グラフの結果から、鉛よりタングステンのほうが1割程度フォールスピードが速いことが分かりました。釣りをしているときはもっと差があると思っていましたが、実際計測してみると体感ほど差はないことが分かりました。
それでもタングステンのほうが高比重で体積も小さいので、潮の流れの影響を受けにくく沈む速度は速いということが分かりました。
感度
鉛よりもタングステンのほうが、明らかに感度が優れています。
着底もタングステンのほうが取りやすいし、ボトムでの小刻みなアクションもまるで海底の様子が手元に伝わってくるようにやりやすいです。
また、潮に乗せてドリフトさせているときも、ロッドを通してジグヘッドの重みがしっかりと伝わってくるので「今どのレンジを流しているか」が把握しやすく、コントロールの精度も上がります。
アタリも鉛では「モゾモゾ」としたぼやけた感じだったのが、タングステンなら「コンッ」と明確なアタリとして伝わってきて気持ちがいいです。
使い分けの考え方

鉛とタングステンはどちらが優れているというわけではなく、どちらにもメリットがあります。それぞれの特徴や得意なことを把握し、状況に応じて使い分けるモノという考え方が大切です。
鉛の強みはコスパにあり
鉛の強みはコスパがいいことです。鉛とタングステンの価格比較表を以下に整理しました。
鉛 月下美人アジングジグヘッド 1.0g(入数4) | タングステン 月下美人アジングジグヘッドTG 1.0g(入数3) | |
---|---|---|
参考価格(メーカー希望・1個単価) | ¥430 / ¥108 | ¥520 / ¥173 |
実売価格(Amazon・1個単価) | ¥325 / ¥81 | ¥425 / ¥142 |
タングステンは鉛の約1.7倍の価格にもなります。鉛はこの低コストの強みを活かし攻めの釣りができます。
・豊富な種類を揃えることができる
ジグヘッドは重さやフックサイズのラインナップが数十種類もあります。水深や潮の早さに合わせて重さを変えたり、ワームのサイズに合わせてフックサイズも変更します。鉛なら低コストでジグヘッドを多く揃えることができるので、状況に合わせた釣りで釣果を伸ばすことができます。
・ゆっくり沈めて食わせる
鉛は沈下速度が遅いのでナチュラルに誘う釣りに向いています。テンションフォールでさらにゆっくり沈めて、じっくり魚に見せる釣りや、潮の流れにもしっかり乗るので、流れに同期させてより自然なベイトを演出することができます。
・ロストは痛いがタングステンほどではない
根掛かりや不意の大物でラインブレイクすることもあります。しかし鉛ならお財布へのダメージは少なく、気持ちもすぐに切り替えられます。とはいえ、根の荒い場所と分かればレンジを上げることや、大物が掛かる可能性があるポイントではラインの号数を上げるという対策も考える必要があります。
タングステンの強みは高比重にあり
・素早いフォールでテンポよく探る
その沈下速度の速さで広いレンジを効率的に探ることができます。水深のあるエリアでも素早くボトムまで落とすことができ、表層~ボトムまで短時間で探り、また次のポイントへキャスト。手返しよく釣りができるのが強みです。
・高感度でショートバイトも拾っていく
警戒心の強い場所、渋いエリアもタングステンの出番です。その高感度を活かし小さな「コンッ」というアタリも明確に伝わってきます。鉛では拾えなかったようなショートバイトもタングステンであればヒットに持ち込み釣果を確実に伸ばしていけます。
・シルエットを小さく見せる
同じグラム数でもタングステンなら鉛よりシルエットを小さくすることができます。飛距離を出すためにg数を上げると鉛が大きくなりワームとのバランスが悪くなります。しかしタングステンならg数を上げてもシルエットが小さいため違和感がありません。
まとめ

鉛とタングステンは、それぞれ違う特徴を持っています。
鉛はコスパが良いこと、フォールスピードが遅いことが強みです。
一方でタングステンは、高比重・高感度であることが強みです。
よく「鉛よりタングステンのほうが優れている」と思われがちですが、どちらが優れているというわけではなく、状況や狙うポイント、自分の釣り方によって使い分けることが大切です。
タックルケースには鉛とタングステンどちらも忍ばせておけば、いろいろな状況に対応できるようになり、釣果も実力も伸ばしていけるでしょう。
コメント